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登山用ロープの端末表示抜けのお詫び
いつも当店をご利用いただきましてありがとうございます。
当社で2021年5月までに販売した登山用ロープについて、消費生活用製品安全法に違反して、登山用ロープを安全に使用する上で必要となる使用上の注意事項について別紙の案内のみで、ロープ端末への表示がありませんでした。
今後はロープ端末に「使用上の注意」を表示したラベルを貼り付けいたします。既に購入されたお客様で、ラベルの貼り付けを希望される方につきましては、送料等当社負担でラベルを送付いたしますので、ご連絡ください。
- 2021.09.08
- 11:45
クライミングロープの選び方
1)UIAA耐墜落回数が多い方がよい
クライミングロープには、各種データーがあり選び方に迷う所ですが、私はずばりUIAA耐墜落回数の多さでロープを比較する事が明解なためオススメします。但し、比較にはロープ径が同じであることが条件になってきます。なぜならロープの径が違うとそれだけ強度なども変わってくるからです。性能を見極めるために迷ったら、耐墜落回数で判断して見て下さい。
2)最大衝撃荷重の値の小さい物がよい
UIAAの定める最大衝撃荷重(Maximum Impact Force)のテストのデーターが小さい物ほど、クライマーが落下した場合に、支点もしくはクラマーに受ける衝撃荷重の力の大きさが少なくなり(つまりロープの衝撃吸収力が高いので衝撃荷重の値が小さくなる)ので高性能のロープと見極めることが出来ます。
3)防水(シールド)加工の有無と種類(加工なし、表皮、表皮と中芯)
クライミングジムだけの使用なら防水加工は不要ですが、屋外でのクライミングでは、防水加工が必須です。発売されているロープには、防水加工の無いもの、表皮(シース)だけの防水加工、表皮(シース)と中芯(コア)の防水加工の3種類があり、当然、表皮と中芯の防水加工が施されているロープほど高性能になります。
4)しなやかさ
ロープの扱い易さは、ロープの持つしなやかさで決まります。結び目の結び易さや確保のためのビレー器具を扱う場合などしなやかなロープで有るか否かがポイントになります。
1)PSCマークの有無
国内で販売されるロープは、必ず独立行政法人製品評価技術基盤機構(通称NITE)の製品試験をパスし、かつ経産省に届け出しPSC(PはProduct(製品)、SはSafety(安全)、CはConsumer(消費者)を表します)マークを取得しておかなければなりません。
2)UIAA安全規格への適合
UIAAとは、Internatinal Moutaineering And Clibing Federationの略称で、国際的な山岳とクライミングの団体で、クライミングの発展や安全に寄与することを目的に活動を行っています。その一環として、クライミングギヤやロープの安全基準を定めこれに適合するロープに認定マークを与えています。
3)EN規格への適合
ENとはEuropean Norm(ヨーロッパ規格)のことで、欧州連合内での安全な製品の流通のため各種の製品規格を定めています。日本で言うところのJISマークのようなイメージです。ヨーロッパで販売するロープにはこの基準の中の892に適合していなければなりません。
●墜落防止用のクライミングロープとして
1)シングルロープ
名前の通り1本で使用するためのロープで、クライミングジムでの使用や直線的なルートを登る等のベーシックな使用に適しています。
2)ハーフロープ
アルパインクライミングやアイスクライミングでの使用に適したロープです。屈曲したルート、プロテクションが貧弱で衝撃を分散したいルート、墜落時に岩角に当たったり、落石の可能性があるルートなどでリスクを抑えながら登りたい場合に適しています。シングルロープと比べるとより安全で柔軟性に富んだクライミングシステム(ハーフロープシステム)を構築出来ます。
3)ツインロープ
シングルロープのように各プロテクションに2本同時にクリップしながら登るためのロープです。距離の長いマルチピッチのルートなどで使用されます。但し、ハーフロープとは使い方が異なります。1本ずつロープを装着したり、ハーフロープのようにプロテクションに1本ずつクリップして登ることはできません。
●作業用または救助用のロープとして
4)スタティックロープ
クライミングロープとは違い、支点を上部にとり、重い荷物を引き上げたり、降ろしたりするために使用されるロープです。重い物を安定的にコントロールするために、ロープは、ワイヤーケーブルのように伸びがなく作業しやすいように作られています。よってクライミングロープとしての使用は厳禁です。
独立行政法人製品評価技術基盤機構
コンプリートシールドについて
ちなみに、テフロン加工とは、デュポン社が開発した撥水ポリマー(重合体)をロープ全体に覆う加工になります。 この加工により、水や埃、塵などの微細粒子がロープに入り込む事を防ぐだけでなく、 ロープ自体の強度や摩耗に対する耐性をも上げています。
水分はロープの構造だけでなく、単繊維レベルまで浸入します。 そのため、ロープは重くなりクライミングに適さない状態になるだけでなく、ロープの強度までも落とします。 高湿度(特に日本は高湿度!)や雪・冬などのコンディションはロープの材質に悪影響を及ぼします。
実験ロープ の重量 |
水に浮かべた(沈んだ)後の重量 |
沈んだ タイミング |
|||
---|---|---|---|---|---|
1時間後 | 5時間後 | 24時間後 | |||
シールドなし
|
100 | 149 | 158 | 162 | 1分後 |
コンプリートシールド
|
100 | 114 | 127 | 127 | 24時間後も沈まず |
90%の湿度環境に24時間放置した前後のUIAAフォールズ(耐墜落回数)を計測した実験結果を以下に記載いたします。
実験ロープ Ambition10.5 |
乾いた状態での UIAAフォールズ |
湿った状態での UIAAフォールズ |
---|---|---|
シールドなし
|
9 | 7 |
コンプリートシールド
|
9 | 9 |
実験ロープ Ambition10.5 |
乾いた状態での UIAAフォールズ |
湿った状態での UIAAフォールズ |
---|---|---|
シールドなし
|
9 | 4 |
コンプリートシールド
|
9 | 7 |
クライミングロープの洗い方
●クライミングロープの洗い方
ロープに土や泥などの汚れが付着して汚くなってしまった場合のケアの仕方をご紹介いたします。
それほどひどくないときは、陰干しして乾いた後に手ではたいて付着物を落として下さい。最も手軽な方法です。(^_^;)
汚れがひどい場合は、大きなバケツやたらいに薄めた中性洗剤(台所用の洗剤で、野菜や果物を洗える物等)を入れてロープをつけ洗いします。
その後、ロープをたわし等をスライドさせながら通し洗いをするのですが、もしホースを固定することが出来るならたわし部分に水を当てながらこするとこすり洗いすると同時に流水ですすぐことが出来るので効率がよいです。
もしくは、水をためたもう一つのきれいな水のバケツに入れていれてよくすすぎます。
最後に、陰干して下さい。これは紫外線劣化を防ぐためです。
裏技なので、ロープメーカーは推奨していませんが、私の先輩は洗いの最後で柔軟剤を使い柔軟仕上げをしていました。
当然ですがロープは使い続けるとやはり固くなってきますので、衝撃の有無や柔軟剤を使う使わないにかかわらず程度に交換することをお勧めいたします。
表皮に施されているSBS加工とは
テンドンのクライミングロープのマスターシリーズのシングルロープとアンビションシリーズ10.0mmには、SBS(シングル ブレーディングシステム)と呼ばれる独自の外皮の編み方が施されています。
外皮は通常2本がペアになって編み込まれているのですが、SBSは1本だけの編み方によって仕上げられています。
(通常の編み方)
(SBS加工)
そのことにより、抵抗が少なくなり外皮は擦れ等に対してより強い耐性を持つことになります。
また、抵抗が少ない事は、クライマーにとっての重要事項である、ビレー操作でロープを送り出す時のスムーズなロープ運びを実現します。
●SBSが施されているロープ
シングルロープ
マスターシリーズ
アンビションシリーズ(10.0mm)